涙のスイッチ
「百合子先輩、やめてくれます?通じない冗談、美和にはそーゆー免疫ねぇから」


「何言ってんのぉ?いつから冗談になったのよ。言ったじゃない、あたしは羽生が好きだ、って」


「だから断ったし」


「あたしは断られたつもりなんてナーイ。ね、美和ちゃん、わざわざウチの学校の羽生に手出す事、ないじゃない?かわいいんだし、他探してよ?」


「百合子先輩!」


「いいじゃない、ここで会えたのも巡り合わせだと思わない?あたし、羽生の事、好きなんだぁ。あなた、羽生に何ができる?練習中励ましたり、タオル渡したりできる?あたしはいつでも羽生に尽くせる。今日の試合、1人打たせちゃったのって、あなたのせいなんじゃない?羽生の実力なら、あんなへなちょこバッターに打たれる事なんて、ないんだよね。足手まとい、わかる?」


「やめろよ、百合子先輩。打たれたのはオレの問題だろ?美和には関係ねーじゃんか」


「だって、じゃあなんで今日、打たれたの?いつものペースはどうしたのよ?」


「だから、オレのミスだろ?美和、気にすんなよ?」


「…える」


「美和?」


「あたし、帰るッ!」
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