涙のスイッチ
さまよう気持ち
腫れた目、痛む胸。


眠れないまま朝を迎えた。


夜、何度も迪也くんからの電話が鳴ったけど、出る事ができなかった。


聞くのが怖かった。


おしまいになるであろう、一言を。


ベッドの中から出られず、時計の針はどんどん進む。


旭くんとの約束の10時。


あたしは部屋から出られない。


♪~♪~♪


着信は旭くんから。


行けない、そう言うつもりで通話ボタンを押した。


「旭くん…」


『美和ちゃん?あー、良かった、事故にでも遭ったんじゃないかって、ビビっててさ』


「うん、ゴメンネ。あたし、今日行けない…」


『なら、美和ちゃん家行ってもいい?』


「でも…」


『行くから道順教えて』


押しの強い旭くんに断る事ができずに、あたしはノロノロと道順を教えた。
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