涙のスイッチ
迪也くんがダメなら旭くん。


あたし。


そんな風には割り切れないよ…。


「ホントはこんな姑息な手段、使いたくなかったけどさ。

弱味につけ込むのも、恋にはアリじゃね?

アイツは美和ちゃんを泣かせたんだよ。

届かなかった想いだか、踏みにじられた想いだか、オレにはわかんねぇけど、美和ちゃんはアイツから不安とか哀しみしかもらえない、そうだろ?」


旭くんの。


旭くんの言う通り。


今のあたしには旭くんの言った感情だけが支配していて、北海道でジョンとあたしを助けてくれた迪也くんも、手を引いて歩いてくれると言った迪也くんも、気持ちがリンクすると言ってくれた迪也くんも、全部、全部。


散らばって拾い集める事ができない。
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