涙のスイッチ
「ヨシッ!じゃあ今日はみんなでボーリング行こうぜっ」


6人でゾロゾロと校門を出て、ゲーセンでボーリング。


あたしはガータばっかりで。


迪也くんの球だったらストライクとれるんだろんな、って思ったり。


「ハイ、コーラ」


旭くんが缶ジュースを渡してくれるけど、迪也くんだったらプルタブを開けてくれるのに、って思ったり。


遠ざかれば遠ざかる程、頭の中に浮かぶのは迪也くんで。


賑やかな4人と旭くんが、あたしの目には映らない。


あたし自身も見えない。


「あたし、ちょっと」


と言って、トイレで鏡の中のあたしを見た。


…ヒドイ顔。
< 151 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop