涙のスイッチ

「美和?」


「あ、彩菜。ごめん、ゲーム中断したまんまだったね?」


「ゲームはいいけど。美和、大丈夫?」


「何が?」


「何がじゃないでしょ?好きでもないのに旭とつき合うわ、そのくせいつも思いふけってさ。このままじゃ美和も旭も大事なモノ、見失うよ?」


「…大事な、モノ?」


「旭さ、すごく頑張ってるけど、辛いと思う。

こんな美和、見てられないもん。

美和だってさ、ずっと心に想ってる人がいるのに、消せないままでその感情どこにぶつけるの?

好きでもない旭に背負わせるつもり?

あたし、違うと思う。

想ってる人がぶつける先で、ぶつけた感情が実ろうが砕けようが、それは自分で消化すべきもので。

他の誰かに背負わせるべきじゃないと思う。

そんな臆病にならないで、ちゃんと真っ直ぐぶつけてみなよ?

結果はどうあれ、あたしや旭達は変わらず美和を受け入れるから。

だから、ちゃんとしなよ!」


「彩菜…」