涙のスイッチ
ゲームを中断したまま解散して、あたしは旭くんと家へ向かった。


旭くんは何もしゃべらない。


マンションの前。


「じゃ、無事美和ちゃん送れたし、オレ帰るな」


「旭くん!」


「いや、聞かない。美和ちゃんが何言いたいのかわかるから、だから言わせない。オレ達、始まったばかりだろ?明日になれば何かが変わるかもしんない。だから聞かない。帰るよ」


「旭くん…」


「言ったじゃんか。少しずつでいいからオレを見てくれって。だからもう少し、待たせてくれよ。明日、明後日、一週間後。美和ちゃんも何かが見えるはずだから、な?」


何かが見える?


旭くんが?それとも見失ってしまった迪也くんが?


何かって…何?
< 154 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop