涙のスイッチ
「美和、聞けよッ」


「イヤッ!離してっ!」


「いいか、聞け。あの時、手を離したのは別に何の意味もないし、告られて黙ってたのは美和を不安にさせたくなかった、それだけだ。

なぁ、思い出せよ。

オレ達、何も持ってないけど、だけど通じ合ってただろ?

ゆっくり歩み寄ってただろ?

オレは信じてたよ、オレと美和は同じだって。

ちゃんと見てくれ、ちゃんと向き合ってくれよッ!!」


「見えないのっ!どんなに追ってもどんなに走っても迪也くんが見えないのっ!もう無理だよ…。あたし、疲れちゃった…」


「美和、届いてくれよ。オレについて来いよ。オレが美和を満たすから。オレが美和を守るから。息が切れたら立ち止まろう。それでもダメなら、もう一度ふりだしに戻ろう。いつだってやり直せる、な?」


「…離して」


「美和…」


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