涙のスイッチ
手をふりほどいてエレベーターに乗った。


部屋にこもってあたしは1人きり、疲れ果てたココロを抱いてベッドに潜り込んだ。


ホントは迪也くんの胸に飛び込みたかった。


でも、できなかった。


“このままじゃ大事なモノ、見失うよ”


彩菜の言葉がぐるぐる頭の中を巡る。


あたしは。


たやすく握れる旭くんの手を選んだばっかりに、彩菜の言う通り大事なモノを失ったんだ。
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