涙のスイッチ
「オレはもう十分もらったよ。美和ちゃんから、幸せ。だから今度は美和ちゃんの番。なぁ、幸せ、自分で掴みに行けよ」


「でも…。もう、遅いの」


「遅くないさ。美和ちゃんの想いは強い。それはアイツも同じだと思う。自分で摘み取るなよ。潰すなよ。可能性がゼロじゃない限り、怖くてもトライしなきゃ、ずっとその後悔残るぜ?」


「後悔…」


「うん。言わないで後悔するより、言って後悔した方が前に進めるよ。だからアイツに言えよ。好きだ、って。止まれの標識は自分で勝手に作ったモンで、案外たやすく通行可になるかもよ?」


「旭くんは…旭くんは、それでいいの?」


「言ったろ?オレは幸せそうに笑う美和ちゃんが見たい」


「うん…。旭くん、ありがとう」


「じゃ、オレ、今日はもう学校抜けるわ。美和ちゃんに言うだけ言ったらなんかスッキリしたから、ヒトカラでパーッと失恋記念に歌ってくるさ」
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