涙のスイッチ
終業式を終え、真っ直ぐ家に帰り、あたしはママに、


「夏休み、また北海道に行きたいの」


と告げた。


翌日、夏休み初日、あたしは再び北海道の地に降りた。


高い空、澄んだ空気。


あたしは。


あたしはもう一度、あの日に帰りたかった。


「もう一度ふりだしに戻ろう」


そう言ってくれた迪也くん。


あたしのスタートは、ここ。


おじいちゃんの家に着くなり、あたしはジョンとあの日眠りにつこうとした川辺へ向かう。


川面がキラキラと太陽の光を反射して、あたしのココロを照らす。


キレイ…。


この川の水のように全てを流して、新しい迪也くんへの想いを作り直そう。


あたしの恋を。


あたしなりの“好き”を、作り直そう。


そのためにここでリセットしたくて来た北海道。


もうリタイアなんてしたくない。


だって。


あたしはまた、歩きたいから。
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