涙のスイッチ
「ねぇ、ジョン?」


「あたしね、ここで迪也くんに助けられて、ここで始まったの。

生きる意味って、まだ正直わからなくて。

でも、生きる術なら教えてもらったような気がするんだ。

つまづいて転んで、泥だらけになっても登り続けるの。

それはあたしのペースじゃ、遅くて不格好かもしれない。

でも、いつか、見晴らしのいい頂上まで辿り着けるって信じたい。

たった1人でも、この想いさえ、もう見失わなければ行けるような気がするんだ。

その想いってね“恋”っていうの。

大切な人を大切に想うココロ。

あたしね、迪也くんが好きで。

大好きで。

今頃素直になっても遅いって、わかってる。

けどね、友達が教えてくれた。

吐き出せた言葉は幸せって形で残る、って。

だから、あたし、ちゃんと迪也くんにぶつけて、もう一度その手をくださいって言ってみる。

手放しちゃったその手は、もう掴めないかもしれない。

けど、信じてみたいんだ。

この気持ちがリンクしてる、ってそう思いたい。

信じる、って、こういう事なんだ、ね?」
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