涙のスイッチ
「ねぇ?ジョン」


ジョンは何も言わずあたしを見る。


「1人じゃやっぱり寂しいから、終わるまでここにいてね?あたしが眠ったら、ジョンはおじいちゃんの所へお帰り」


「ワンッ!」


「フフッ…。ジョンはお利口だね?ちゃんとわかってるんだもの。あたしがいなくなっても元気でいるんだよ?ママを守ってあげてね?もうパパにぶたれたりしないように、ジョンが守ってね?」


「クゥーン…」


ジョンとのおしゃべりは、そう長くは続かなかった。


薬と寒さのせいか、30分も経たずに眠気があたしを襲う。


「ジョン…」


「ワンッ!」


「ありがとね。さようなら…」


「ワンッ!ワンッ!」


ジョンは激しく吠え、さっき来た道を走って行った。


あたしは。


真っ暗な空から舞い降りる雪の中、静かに目をつむった…。
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