涙のスイッチ
「ママ…どうして、あたし?」


「隣の…って言っても100mも離れたお隣さんだけど、その羽生さんとこの迪也くんがね、お友達の家の帰りに歩いていたらジョンに会ったんですって。激しく吠えるもんだから、お父さんに散歩中何かあったんじゃないかと思って、ジョンの行く方を探すと美和ちゃんが倒れてて。家までおぶって連れて来てくれたのよ?」


羽生…迪也…(はにゅう みちや)。


「覚えてない?小さい頃、夏休みにこっちに帰って来た時、一緒に水遊びしたりしたじゃない?同い年の迪也くん」


思い出そうとするけれど、まだ薬で朦朧とする頭では、何も浮かんではこなかった。
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