涙のスイッチ
一一一………。


「ワンッ!ワンッ!」


ジョンの鳴き声で目が覚めた。


部屋の中は暗く、熱のせいか体中の関節が痛く頭がガンガンする。


「こんばんはー」


襖の向こうで声が聞こえる。


「あら、いらっしゃい。どうぞ入ってくださる?」


「おじゃましまーす」


「昨日は本当にありがとう。ちゃんとこちらからお礼に伺わなきゃならないのに、美和ちゃん、熱が出て眠ったままで…」


「いえ、いいんです。コレ、回覧板のついでに様子見に来ただけですから」


「すまんな、迪也くん」


「いえ」
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