涙のスイッチ
襖の向こうでみんなの話声と、迪也くんを送る言葉を聞いて、あたしは布団から出た。


「あら、美和ちゃん起きたの?」


「うん。少し楽になったみたい」


「迪也くん、もう帰っちゃったけど、少し話せたみたいね?」


「うん。ちょっと貧血気味で倒れちゃったって話して、きちんとお礼も言った」


「美和、お腹空いたんじゃない?」


「うん、ちょっと」


「ちょっと待ってなさい。おばあちゃん、お粥作ってあげるから」


「うん、ありがとう」


コタツの中でお粥を待つ間、夕方のニュースを見た。


昨日、迪也くんに助けられなければ、あたしはこの暗いばかりのニュースの中にいたかもしれない。


そう考えると、また泣きたくなった。
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