涙のスイッチ
───ピンポーン


チャイムを鳴らすとおばあちゃんが顔を出した。


「あら、相川さん。皆さんお揃いで」


「羽生さん、先日は迪也くんに美和を助けていただいて、どうもありがとうございました」


「あら、やだ。そんな改まったご挨拶なんて良かったのに。さ、どうぞ、入ってくださいな」


「おじゃまします」


茶の間に通されて迪也くんのおばあちゃんとお母さんに、ママとおじいちゃん、おばあちゃんは繰り返しお礼を口にした。


あたしも何度も頭を下げたけど。


迪也くんが、いない。


学校が終わる時間を見計らってきたのに。
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