涙のスイッチ
「あの…。迪也くん、は…?」


「あぁ、そうね、迪也ならまだ学校なの。部活の自主トレ、バカみたいにそればっかりなのよ、あの子ったら。まぁ、その部活のおかげで高校も東京の私立に推薦で合格できたんだけれども」


「東、京…?」


「そうなの、子供の頃からずっとやってきた野球でね、美和ちゃん、宮園学院って、知ってる?」


「ハイ」


「そこに4月から通うの。そうだわ、迪也、田舎しか知らないから、美和ちゃん色々教えてやってくれる?」


「あ、あたしで良かったら…。あたしも何か迪也くんにお礼がしたいです」


「ありがとう、美和ちゃん」


迪也くんのお母さんはとても優しくて。


少しだけ迪也くんに近づけたような気がした。


重ねてお礼を言って、少し世間話をして。


そろそろおいとましようと玄関に向かうところ。
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