涙のスイッチ
「マ、マ…?」


結婚記念日に買ったお皿も、ママのお気に入りのティーセットも全部、形をなくして床に破片となって散らばる。


「ママ…!」


一一一ガシャン!


「…美和ちゃん」


静かに涙を流し、ママはあたしを抱き締めた。


「ごめんなさいね、美和ちゃん…。ママが弱くて、こうでもしなきゃパパを…パパを憎む事だけしかできなくなりそうなの。だから許して、ね?」


「ママ…。あたしのせい?」


「違うわ。美和ちゃんのせいじゃないの。これはママとパパの問題。でも、もうママも耐えられそうにないわ。ねぇ、美和ちゃん、家を…出ない?」


「パパとママ…離婚するの?」


「ううん。違うのよ。少し距離をとって今の生活から遠ざかるだけ。そうだ、おじいちゃんの家に行かない…?」


「北海道の…?」


「そうよ。2人で、ね?美和ちゃん一緒に行ってくれるわよね?」
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