涙のスイッチ
「美和…?」


「へっ!?」


「何考えてんの?」


迪也くんの整った顔が間近にあって。


思わず顔を背けた。


「今、言ったばっかだろ?隠すなよ」


「あの…えっと…。ポジション、どこかなっ、て」


「?」


「野球!あたしあんまり詳しくないけど、迪也くんのポジションどこかなって、考えてただけっ」


「あぁ、野球な。ピッチャーだよ」


「そっか…。ね、あたし、宮園に野球見学しに行っても、いい?」


「練習なんて見ててもつまんねーぞ?」


「いいの、見たいのっ。あの写真、バッド持ってるトコ、かっこいいよ?」


言ってしまってから2人して顔が真っ赤になった。


言うべきじゃ…なかった、カモ…。


しばしの沈黙…。


あたしは缶コーヒー飲んでみたり、迪也くんは4つ目のドーナツに手を出してみたり。


先にその沈黙を破ったのは、迪也くんだった。
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