涙のスイッチ
降り立った北海道の地は雪景色で。


日没の早い冬、真っ暗な道を高速バスで2時間余り、またバスを乗り継いで50分、ようやくママの実家のおじいちゃん家に着いた。


古い木造の一軒家。


玄関でおじいちゃんの飼っているセントバーナードのジョンが出迎えてくれた。


「ワンッ!」


「ヨシ、ヨシ、ジョン。北海道は寒いねぇ?ジョンは外でも平気?」


「ワンッ!」


フサフサの尻尾を振って体をこすりつけてくるから、あたしのコートに容赦なくジョンの白い毛がついた。
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