涙のスイッチ
───ポン


迪也くんの手があたしの頭に乗る。


そして、やっぱりあたしは涙のスイッチが入っちゃうんだ。


「…っ…っ…」


「美和…?」


いろんな想いがごちゃごちゃになった涙だった。


きちんと謝れた事。


パパとママが仲直りできた事。


そして。


あたしはもう元の暮らしに戻らなきゃいけない=迪也くんとはこれが最後の夜になるという事。


「美和」


フワッと。


優しい空気に包まれた。


迪也くんがあたしを。


抱き締めてくれた───。
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