涙のスイッチ
気持ちのリンク
あたしがひきこもる前の生活に戻った。


東京、学校、友達、卒業式、短い春休み。


何事もなかったかのように流れる毎日だけど、1つだけ変わった事があった。


迪也くんは、毎日メールをくれた。


“友達とはうまくいってるか?”


“父さんと母さん、困らせるなよ?”


“東京は、もう桜が咲いた?”


短い文章に迪也くんらしい不器用さを感じて、なんだかおかしかった。


心待ちにしていた今日は、迪也くんが宮園学園の寮に引っ越してくる日。


おじさんとおばさんも一緒に来るらしく、夜にはウチのパパ、ママ、あたしとホテルで合流して、みんなで食事会の予定。


「美和の命の恩人なんだから、張り切って接待するんだぞ?」


パパに言われるまでもなく朝からソワソワしているあたしは、服を取っ替え引っ替え。


珊瑚色の淡いピンクのワンピース。


前下がりのセミロングの髪は、ドライヤーから煙りが出るんじゃないかってくらいブローした。
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