涙のスイッチ
「美和、久しぶり」


「うん…。久しぶり…だね?」


「なんだよ、借りてきた猫みたいな顔しちゃってさ」


「そっかな…」


「オレさ、美和が帰ってから、毎日ジョン借りて散歩してたんだ」


「ジョン?」


「うん。なんか美和と歩いてる気がした」


「ウフフ…。散歩、あたしも楽しかった」


他愛のない会話なのに、太いけど艶のある迪也くんの一言一言に、あたしの心に春が来る。
< 78 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop