涙のスイッチ

「あのさ、まだ何もないオレ達だけど、その…。

お互いを信じてみない?

今言えない事も、もう少し時間が経てば２人の気持ちがリンクして、きっと同じ事を同じタイミングで言える日が来るような気がするんだ、って、オレの気のせいか、な…」


「同じ、事…?」


「美和って鈍いから今はわかんねぇかもな。でも、これだけは言えるよ。オレを信じてほしい」


「信じる…?」


「そう。

何か根拠みたいな確かなモノがあればいいんだけど、オレは今、そんなたいそうなモノ、見つけられねぇんだ。

自信もなけりゃ、力もない。

だから今は言えない。

だけど信じてほしい、って…あーっ!!オレ、何言ってんだろッ。

ゴメン、手段がわからんし、言葉も足んねぇよな。

伝わんねぇよ、な」


「ううんっ!いいのっ。なんかわかんないけど、あたし、迪也くんの事、信じるっ!」


「ホント?」


「うん、信じるってどうすればいいのかわかんないけど…。あたしと迪也くんは同じなんだ、って考えてみる」


「うん。

今のオレ達はそれでいいんだと思うんだ。

背伸びしないでさ、歯痒いかもだけどゆっくり、さ。

歩調合わせて、さ。

オレは美和と歩くから。

なっ?」


「うん…。迪也くん、ありがとう」