涙のスイッチ
「な、美和もあさって入学式?」


「うん」


「そっか。オレ、明日は寮の部屋、片付けなきゃなんないから会えないけど、入学式の後、会える?」


「うんっ」


送ってくれる間、ずっと繋いでいてくれた手は。


あたしの欲しかった迪也くんの体温。


もう、泣いたりしない。


信じれば涙なんていらない。


迪也くんの言葉を噛み締めて、あたしはまた少し前を見て歩ける。


ゆっくりと。
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