風少女
おかしい。

あの子…濱中美和に話しかけられて数日、まだ葉月は時折ため息をつく。

…一体どうしたんだ。

もう考えても仕方がない。…今日、家に帰って聞いてみよう。



「葉月」

「………ん?」

「どうしたの?」

「なにが…?」


「濱中さんに会ってからずっとそんな調子じゃないか」


すると葉月は顔を少し顰めた。

そして僕の机をあさり、一つのプリントファイルをとりだす。

おもむろにページを開いていく。



「……濱中美和、16歳。

交通事故で○○年の8月17日、死亡。

担当者……」


少し高い声で、葉月はそれを読み上げていく。

8月17日…今年の?

待ってくれ!今日は8月15日、明後日なんじゃないか!



「担当…者……

認識番号100-502」

「100-…502?認識番号…?」


「私の名前」


葉月が顔を顰める。




「認識番号100-502。

花音葉月はここの世界での名前」


< 10 / 12 >

この作品をシェア

pagetop