風少女
「君には関係ないでしょ、人ひとり死のうがなんでもないだろ!!」

「……君、名前は」

「聞いてないんだね…。…僕は早乙女ユウマ」

「そう、ユウマ。

私は花音葉月。よろしくユウマ」


よろしく?


「君が生きるって…生きる意味とか希望とかを持つまで、私つきまとうよ」

「はぁああああ!?」

「死んでもなにもないよ。…天国、地獄もなにもない。

…あるのは」


少女……葉月はうつむいてしまった。




「あるのは?」

「……ある…、のは…」


沈黙。

10分の沈黙を破ったのは僕だった。


「……もういいや。

分かった、今日はやめておくよ」


そう言って廃墟ビルの扉に手をかけた。

葉月は僕についてくる。



「なんでついてくるのさ」

「言ったじゃない」

「家族もいるし無理だよね、それ」

「平気。


私、貴方の家族に見えないようにしてるから」



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