風少女
眩暈がしたのはきっと葉月のせいだ。

冗談じゃあない、こんな電波女!

「今、電波女って思ったでしょう」

「何で分かるんだよ」

「……長年生きたことで会得した、読唇術とでも言いましょうか?」

「長年?君どう見ても15、6じゃないか」


僕がそう言うと、葉月はかすかだが口角をあげて笑った。


「?」

「人は、いつか死ぬものなのに」

「はぁ?」


一体何を言い出すんだ。


「私だけ、死ねないの。」



葉月は


哀しそうに、寂しそうに


だけど



「…ずっと、ずぅっと…たくさんの人の死を見てきた…」



とても凛とした声で


僕にそう伝えた。
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