本当の理由
だから…私は優李くんに嘘をついた。
「優李くん…知ってる?」
「…何を…?」
優李くん…悪いけど、貴方に嘘をつかせてもろうわ。
「小学生の頃…椎名有紀っていたじゃない…?」
優李くんの体が反応した…やっぱり…まだ…
「…っ…有紀…」
私には聞こえた…愛しそうに、かすれた声で…凄く小さな声で…あの女の名前を呼んだ…。
だけど私は気にせず続けた。
「あの女ね…転校した後にその先の学校で援助交際…して…しかも木村くんの事…っ…」
我ながら演技も完璧…
「…」
「っ…木村君なんて…好きじゃないって…男が集まるから利用しただけって…うっ…」
「…そっか…」
優李くんは力なく笑った。
「…だから…仕返ししない…?」
「…いいよ…」
ちょろいもんね…
傷ついた優李くんの心はもはや私のもの。