本当の理由
ふと思ってしまった。
だけど僕は気にせずに寝た。
そもそも有紀の事をいじめるのは女。
僕は『ご勝手に』って言って任せている。
そしてある日…僕は屋上に行った。
何故だか屋上は落ち着くんだ…。
すると誰かが泣いていた。
失恋したのかな…。
それにしても僕以外の生徒がいるなんて珍しい。
そっと覗いてみた。
え……
そこにいたのは…
ゆ…き…?
―泣いてる…?
すると有紀は手すりを乗り越えていた。
は…?!何やってんの…?!
「っ…有紀っ…!」
僕は無意識に有紀の手を掴んでドアのところまで連れてきて抱きしめていた。
今初めて気がついた…
有紀の体には殴られたようなアザがたくさんあった…
有紀の体は震えていた…
涙も流していた…。
有紀はこんなにも小さくて…僕の腕にスッポリとおさまった。
あれほどムカついていたのに…有紀が死ぬと思うと怖くて堪らなかった…。
だけどその時…
「っ…やっ…木村く…離し…てっ…」
有紀は細い腕で必死に僕を引き離そうとする…だけどその力は弱々しくて…僕は今までの憎しみなんて忘れていた…。
今は…有紀を離したくなかった…