只今恋愛学習中

「ありがとぉ!!めっさ嬉しい!」


って言いながら私に抱きついてきた。

華奢な体格なのに、すっごく力強い。

「ひゃっ!あっああ明良くんっ!恥ずかしいからちょっと放して?」


軽く肩を押しながら言う。
だって、さっきから周りの視線が……。


「あかんかった?」


私を放して、寂しそうな目で聞いてくる。

「違うの、えっと、その、恥ずかしいから。」


って言っても、まだ少しはぶてた顔をしてる…。

「あの、人前じゃなかったら、何しても大丈夫だから。ね?」


小さい子をあやすみたいに言ってみた。
そしたら、あからさまに喜んで、


「ホンマに!せやったら我慢するわっ」


そう言う明良くんを見て、つられて私も笑う。

ふと、腕時計を見ると、楓ちゃん達と分かれてちょうど1時間。


「そろそろ駅前のお店、行こうか?」

「そーやな。」


って会話をして、駅前に歩く私と明良くん。

すっ、って右手を握られたから、驚いて明良くんを見たら、


「人前やけど、こんくらいはえぇやろ?」


困ったふうに聞いてきた明良くんに

「………うん。」


肯定して返しながら、
右手に少し力を入れた。
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