†導かれる聖女†


「準備出来たか?」


扉の向こうから
ルークの声が聞こえる。


どうやら私が着替えるのを待ってくれていたらしい。


「うん、大丈夫……」


そう返事を返せば、閉まっていた扉がすぐに開いた。


―ガチャッ

「セシル………」


名前を呼んだルークの動きが止まる。


「…ルーク?」


私の姿を見つめたまま
一向に口を開かない。


「変…かな……?」


自分の格好が変だったのかな…
化粧も初めてだったし、
やっぱり失敗だったのかな…



「…行くぞ」


ルークはそのままくるりと身を反転し、部屋を出る。


私は慌ててルークの
後を追った。








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