†導かれる聖女†


「んっ……え……?」


目を開けると、私はルークに背負われていた。
ルークは私を背負いながら階段を上って行く。


「ルーク!?」


名前を呼べばルークは驚いたように肩をびくつかせた。


「セシル!!目が覚めたか!?」


汗をびっしょりとかきながらルークは私に小さな笑みを向ける。


「ごめんなさい。
ルーク、今何が起こって…」


―ズドーーンッ!!!


物凄い爆発音が船内に鳴り響く。


「アンデットだ…
おそらくそこら辺の雑魚とは違う。あれは……殺し過ぎだ」


アンデット…そう呼ばれる悪魔達は生き物を喰らい力を得る。その力は人を喰らった数で変わる。


今回のアンデットはあの夢の時のアンデットと同一だろう。


「…っ…ティアネイは!!?
金髪で長身の男の人なんだけど…」

「それは俺の事か?」


背後から声が聞こえた。私は顔だけをそちらへ向ける。


そこには夢で見た彼と瓜二つの青年が立っていた。


「ティアネイ…あなたがレイナの大切な……」


レイナの名前を聞いた瞬間、ティアネイは顔色を変え私を凝視した。


「お前…レイナを知っているのか!?」


ティアネイの言葉に私は無言で頷いた。







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