†導かれる聖女†
「あなたが変わったのは…
あなたが悲しみで壊れてしまわない為の精一杯の強さ。
そうしてここまで来たのね」
私は優しくティアネイの頬に手を添える。
「あなたは強いわ…
愛する者を奪われた悲しみに埋もれず、立ち向かう勇気がある。
でも……悲しみを、痛みを…
素直に言葉にする事は弱さじゃないわ。
それは優しさであり、それもまた強さ…」
だから…
もっと素直に、もっと自分らしく…
「俺はっ…守れなかった!!
最後の最後まで彼女をっ…
レイナを!!!!
そんな俺を…彼女は許してくれるのだろうか……」
悔しげに地面を殴り、ティアネイは涙を流す。
それが彼が我慢してきた素直な想い…
「彼女が…あなたを助けてと私に頼んだの。
あなたは…愛されてたのね…
それは本当に幸せな事ね」
私は笑顔を浮かべ、ティアネイの体を抱きしめた。
「…っ……あぁ……
俺は彼女を好きになった事を…一番幸せに思う」
私の腕の中で、ティアネイは瞳を閉じた。
その表情は穏やかで、やっと解放されたような表情だった。