†導かれる聖女†


「平気…ルーク……
死神を…殺して…」

「了解した」


ルークは私の額に優しく口づける。


そして私の意識は遠くなり、プツンッと途切れた。


「…お前は隠れていろ。死神は片付けておく」


ルークはティアネイに視線を向ける事無く階段へと向かう。


「いや…俺も行く。あいつは俺の敵でもあるんだ」


その言葉にルークは殺意をあらわにした。


「…お前のような軟弱な人間が…人外に敵うとでも思っているのか?」


ルークの殺意を込めた瞳に怖じけづく事なくティアネイは睨みつけ返す。


「……………なめるな…」

それはルークも驚くくらいに低く、怒りのこもった声だった。


「俺も…なんの力も無しにここへ乗り込んだわけじゃない」


ティアネイはそう言って瞳を閉じた。


「…契約の下、我が命ず。その詞を受け入れ従え…
風を操し、裁きを与えん。
目覚めよ断罪の風剣!!!」


ティアネイの言葉と共に、凄まじい風がティアネイの右手に纏い付く。


それは次第に形を模る。
ティアネイの右腕と一体になり、美しい翡翠色の剣となった。


「断罪の…風剣…だと…?」


ルークは目を見開く。
聖剣を扱える人間に出会ったのは初めてだったからだ。



「…聖剣…士………?」


私は力の波動を感じ、重たいまぶたを持ち上げる。







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