†導かれる聖女†


「ティアネイ…
またいつか…



またいつか出会えたら、
今度は沢山お話しをしようね…


あなたが幸せになれた温かいお話しを…


私はルークの手に自分の手を乗せた。ルークはしっかりと私の手を掴む。


「ま、待ってくれ!!!」


旅立とうとした私達をティアネイは呼び止める。


「俺も一緒に行かせてくれ。俺は…お前の傍にいれば自分の人生をもっと大切に歩める気がするんだ。
今の俺には…目的が無い。それを探す旅に出たい。共に行かせてくれないか?」


ティアネイの申し出に、私とルークは顔を見合わせる。


「言っておくが、俺達の旅は常に命の危険に脅かされる。それでもついてくるのか…?」


ルークの言葉に、ティアネイは無言で頷く。


「あなたさえ良ければ構わないわ。ただ…
ルークの言う通り命の保障は出来ないから…」


私には沢山の敵がいる。
私を利用しようとする者やその力を悪用しようとする者。


ルークの敵も少なくないのだろう。彼はヴァンパイアというだけで世間からは虐げられる存在。


私達と共に来るという事は、共に戦い続けなければならないと言う事…


「あなたにその覚悟がある?」


私の問い掛けにティアネイは笑みを浮かべた。


「レイナを失ったあの時、断罪の風剣を手に入れたあの瞬間から戦う覚悟は出来ている」


ティアネイの一言で私とルークは笑顔を浮かべた。


「「なら共に」」


私達はティアネイに手を差し延べる。


「あぁ…共に…」


ティアネイは笑顔を浮かべ、私達の手を取った。



『…ありがとう……
彼を本当の意味で救ってくれたあなたと一緒なら……
ティアネイもきっと…
幸せに……』


風に乗って声が聞こえた。それは新しい門出を祝い、無事を祈る声…


レイナ……
あなたが守った彼を…
彼が生きる目的を見つけ出せるまで私も守ると誓うわ…



それはあなたと私の約束…
決して違える事の無い…
契約と誓い……


私達はルークに引っ張られ、空中を飛ぶ。


青い海と青い空に囲まれ、私達の旅はまた始まった。








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