†導かれる聖女†
「あった…………」
「は?お前矛盾して…」
ティアネイの間抜けな呟きにルークは呆れたようにその視線の先を見る。
「…………館?」
ルークとティアネイは顔を見合わせる。
「「見つけた!!」」
そして二人は館へと
全力疾走する。
―コンコン
「すまない!!
誰かいないか!?」
ティアネイの声ですぐに
扉が開く。
「はい。どうかなさいまして?」
「あ、すまないが今晩の宿を……」
そこまで言いかけたティアネイの声が途切れる。
出てきたのは本当に美しく、どこか気品を感じさせる女性だったからだ。
その美しさにティアネイもルークも息を呑む。
「どうか…なさいまして?」
妖気に、艶やかに微笑む彼女はまるで魔女。
「あ、いや…すまない。
実は今晩泊まる場所を
探している。迷惑でなければ……」
ティアネイの言葉に女性はまた艶やかに微笑む。
「構いませんわ。
この館には私しか住んでいませんの。
お客様は久しぶりで
今晩は楽しくなりそう…」
―ビクッ
寝ているセシルの体が震えた気がした。
ルークは腕の中で眠るセシルに視線を向ける。