†導かれる聖女†
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ブクブクブクブク…
体が浮遊し沈んで行く感覚で目を開ける。
そこは…水の中だった。
…………不思議…
此処は水の中なのに
息が出来る。
『マグダラ・マリア』
そう…
ある者は私をそう呼ぶ。
そしてまたある者は私を…
『聖女様』と呼ぶ。
救いの御使い
純白の女神
マルガレーテ
宗教上に存在する神や女神の類いを彼等は私に
その存在を被せる。
………私は……私なのに…
『…あなたの気持ち…少しなら分かるわ』
……誰………?
私に語りかけてくる声は、あの森で助けを求めてきた声と似ていた。
『私はあなたと対極の存在。
この世界であなたが聖なら私は闇。あなたが光なら私が影の存在…』
それは対極の存在。でも孤独という点では共通していた最も近しい存在。