†導かれる聖女†
「素敵な事ね…………
誰かを愛し慈しむ事は
とても美しい事………」
私にはきっと知る事が
出来ない感情。
「お前にはいないのか?」
ルークの質問に私は
苦笑いを浮かべる。
「大切な者は全部……
失ってしまったから…」
この手を滑り落ちるようにサラサラと私の前から消えていく。
ねぇどうして……?
私の前から消えていくの?
「セシル………」
―フワッ
「…っ…………」
ルークは私を抱きしめた。優しく強く…私の不安を消し去るかのように…
「皆…いなくなっちゃう…
私はまた………」
一人ぼっち……
「俺がいるだろう?
お前は孤独じゃない」
ルークの言葉に私は
無言で首を振る。
それは…今だけでしょう?
契約が終えればあなたは…
「私は…いつも孤独よ…
だからあまり…優しくしないで…。離れられなくなっちゃうから…」
ルークの胸にしがみつきながらそんな事を言う私は矛盾している。
本当は優しくされたいのに…