†導かれる聖女†
「……上級アンデットか……」
人の言葉を語り意思と自我のある悪魔…
『ヴァンパイア風情が………
それを寄越せ。それは
お前達のような下級魔族に扱えるような代物ではないわ!!』
ルークはそれと呼ばれた腕の中のセシルに視線を向けた。
「お前達は何故こいつを欲しがる?」
悪魔や魔術師達がセシルを欲する理由が今一分からない。
「こいつはお前達魔を司る者にとって害なす存在だろう?」
何故殺すのではなく
欲する……?
『くく……くくくははっ!!
何も知らずにそれと共にいるのか!?
無知は愚かしいな』
アンデットは奇怪に笑う。
「何が言いたい…?」
『それは世界の理、真実、セフィロトの扉を開く存在。その扉が開かれし時…
新たな世界の創造が始まる』
アンデットは言い終えると
可笑しそうにまた笑った。
『世界の創造…すなわち
神の誕生……』
「…やはり分からないな。それとセシルに何の関係が…」
ーガキンッ
アンデットは不意をついてルークにダガーナイフを投げつけた。
それをルークは漆黒の剣で弾き返す。