†導かれる聖女†


「…あの子は!!!?」


周りを見渡してもあの銀色の彼女の姿が無い。


「あの子?
あの子って誰だ?」


ティアネイは不思議そうに私を見る。


「私の…私の大切な人…
あの子を…助けなきゃ…」


慌てて駆け出す私に二人は困惑したように付いてくる。


「また何か見たのか?」


ルークの質問に私は首を横に振る。


「あの子が……
私を呼んでた……
私はあの子の過去を、あの子は私の過去を見て互いに繋がってた………
あの子にとっても、私にとっても…
私達は大切と呼べる存在なの……」


私の言葉にルークもティアネイも黙り込む。


きっと理解出来ない言葉だと思う。自分でさえこの関係を何と表したらいいのか分からないのだから…



「地下の…奥……
閉ざされた空間…隠された宝魂…
捕われた…銀…」



私はあの時見た映像を一つ一つ思い出しながら駆ける。


早く…早く行かなきゃ…
もう大切な人を…


「…失いたくないっ…」


私は走るスピードを上げていく。


この階段を降りて地下牢……
その奥の奥に……


「封印牢………」


固く閉ざされた大扉に
私は手を当てる。







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