†導かれる聖女†


ーギィィ…


「……水晶………」


入ってすぐ現れたのは、
魔法陣と鎖に繋がれた水晶。


その中には………


「やっと…………
やっとあなたにたどり着いた…」


水晶の中に眠る銀色の髪の少女。


私はゆっくりと水晶へと近付く。


「無効せよ」


私には何一つ魔力による障害は起こらない。


私は水晶へ触れた。
その瞬間、水晶の中の少女は目を覚ました。


「やっと…会えたね…?」


涙を堪えながら私は彼女に笑いかける。


『どうして……
どうして来てくれたの…?
逃げてと言ったのに…』


彼女は嬉しさと悲しさの交じった表情をした。


「あなたは助けてと言った。森の中で私に救いを求めたのを私は知ってる…」


本当は助けてほしくて、苦しかった筈なのに…


あなたは私に逃げてと言った…


「本当にあなたは……
不器用な人……」


『セシル…私っ………』



私は人差し指を自分の唇に当てる。


彼女が言おうとした事、私にもわかってしまったから…







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