†導かれる聖女†
「わかってる…
わかってるから……」
涙がポロポロと流れる。それは止まる事を知らない。
やっと出会えたのに…
私達に待つのは別れ。
肉体を失い魂だけの彼女は、水晶から出れば天へ帰らなくてはならない。
そして送るのも私の役目…
『私っ…あなたに会えたら何を話そうって……
何度も何度考えてた…
なのに…会えたら言葉が出てこなくて……』
彼女も涙を流す。
別れなんて来なければいいのに……
「私は決めてたの。
あなたに会えたら
聞こうって…
ねぇ……あなたの名前は?」
彼女は目を見開く。
そして悲しそうに首を振った。
『忘れて…しまったわ…
私に残されているのは、
魔女という名称だけ』
「ならあなたに私が
名前を贈ってもいい?」
私が今彼女にあげられるモノなんてこれくらいしか出来ないから…