†導かれる聖女†


「お前の傍にいる」


セシルという孤独な女の傍にいよう。


…手放したくない。
この弱くて愛しい人間を…


「嘘よ!!!!」

―ザシュッ

「くっ………」


セシルの剣がルークの腹部に深く刺さった。


そこからじわじわと紅い血が染みてくる。


「…な…んで…」


セシルは剣を握りながらガタガタと震えた。


「…逃げなかったの…?」


セシルは涙を流しルークを見上げた。


やっと目が合った。
正気に戻ったか。


出血量は致死する程なのに、何故か冷静だ。


セシルの無事がわかったからか…


どうやら俺は、この女が大事らしい。












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