†導かれる聖女†


何かを言おうとした彼を制して私は口を開いた。


「私は彼と共に此処を出ます。この牢獄から…解放される為に…」


聖女である私の言葉に
人間達は目を見開く。


「それは……どうして…」


不安そうな声が沢山聞こえてきた。


「私という聖女に頼り自らの意志で考え、望む事が出来なくなった時…
それは人間の幸せを失ったのと同じ事…
私はそれを望まない」


最後の最後まで彼等を
導く聖女で在ろう…


私はそう決めた…


「さよなら…」


これは別れであり始まり…
私は私の向かう場所へ…
呼ばれるがままセフィロトの…真理と扉を目指す。


それが私の望む道…





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