†導かれる聖女†
「私と共にいるという事は、あのウィザードや教会の人間達から狙われるという事…
それなのに何故…」
信じられないという顔で彼を見上げる。
「俺はあの時救われた恩を連れ出すだけじゃ返しきれていないと思っている」
それからただそれだけだ…と付け加えた。
「…あなたは何処へ…?」
私も彼も相手の目的地を知らない…いや、言いたくないのかもしれない…
「大切な者の所へ…」
それっきり口を閉ざしてしまった。
大切な者…
彼にはそんな人がいるんだ…
うらやましい…
心からそう思った。
「私は最果ての地…あなたはその大切な者の所へ…」
「契約はそこまで…だな」
それから二人で頷き合う。
「俺は…ルーク・ドラグラーシェ」
彼は簡単に自己紹介をした。
私も自己紹介をしようとして口を閉じる。
マグダラ・マリア
聖女マリア
セシリー・ルミエール
どれが私の名前なのだろう…