†導かれる聖女†


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「稼ぐぞ」


町に入った途端、ルークはそう言って短剣を取り出した。


「おい、そこのお前」


それから突然、町を行き交う人間の一人に指を指した。


驚きでただ成り行きを見守るしか出来ない。


「俺がお前の投げたこの林檎にこのナイフを当てられたら宿一泊分の金をよこせ。俺が負けたらお前にはその倍を払おう」


その言葉に町人は馬鹿にしたように笑う。


「いいだろう!!
約束は絶対…だぜっ!!!」



町人は不意打ちに林檎を遠くへ投げる。


大柄だったからか、林檎は予想以上に遠くへ飛んだ。


不規則に回転しまだまだ飛び続ける。


男は勝ちを確信しているがルークは違った。







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