†導かれる聖女†
「あぁっ…聖女様!!
私の罪も救われるのですね!!」
痩せこけた女性が
私の足元に縋る。
「聖女様!!」
「あぁ…マグダラ・マリアの生まれ変わり…
何とお美しい…」
あぁ…汚い…
汚れている。
此処にいる人間も…私も。
どんな事をしても罪が購われる日なんて来ない。
それが本当に来るのだとしたらそれは…
その命を終える時だ…
全てのしがらみから解放され無へと誘われた時…
これは所詮そう思い込ませているにすぎないのだ。
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「…はぁ…」
終わった…やっとあの
汚れた時間が終わった。
また明日が来たら
同じ事の繰り返しなのだが…
そんな事を考えながら
また廊下を一人歩く。
―カツカツカツ…
あぁ…なんて綺麗なんだろう。
窓から見えた月を
見上げる。
自然と歩く足も止まっていた。