†導かれる聖女†
―ガタガタガタッ
教会の出入口である
大扉から不審な音がした。
私は迷わずそこへ
足を向ける。
「来客…?」
信者…かな…?
大扉に手をあて思いっきり押す。
―ギギギィー…
不吉な音を鳴らしながら
扉が開いた。
「…え……人…?」
扉を開けたその先には
漆黒の髪に深紅の瞳を持つ青年が倒れていた。
「しっかりしなさい!!」
慌てて青年を抱き寄せ
頬を軽く叩く。
なんて真っ青なの…
生きているの?
それに紅い瞳…
まるで赤く滴る血のよう…