†導かれる聖女†
「…ぅ…ぁ…」
青年は小さく声を上げる。その口元を月が照らした瞬間ー…
―ドクンッ
「っ!!!!?」
小さな悲鳴を上げる。
そこにあったのは…
鋭く光る牙だったのだ。
「あなたはヴァンパイア…なの…?」
返事は返ってこないが
青年はあたしに視線を向けた。
その紅い瞳と目が合い
視線が絡む。
「……俺を……
殺す……のか………?」
そして彼はそう言った。
殺すのか?と…
あたしはその質問に
答える事が出来ない。
私は…魔とされた
ヴァンパイアをどうするのか…
「…分からない……」
そう…あたしは今までに
自分で何かを決断した事がなかった。
今までずっと同じレールの上をただひたすらに歩いてきたから…